なぜ保存形式が重要なのか
私たちは日々膨大なデジタルデータを生成していますが、それらが「未来にも読める形で残る」とは限りません。紙の文書や写真が数十年、時には百年以上残るのに対し、デジタルデータはフォーマットとメディアの両面で極めて脆弱です。
まず、ハードディスクやUSBメモリ、光学ディスクなどの物理メディアには寿命があり、10年からせいぜい30年が限度です。さらに深刻なのは、ファイル形式の陳腐化です。特定のソフトウェアでしか開けない独自形式は、ソフトの終了とともに事実上「開けないファイル」となります。
今回は、長期保存に適したファイル形式についていくつかご紹介します。
画像データの保存:TIFFとPNG
「TIFF」
TIFFは、印刷業界や図書館、博物館など、プロフェッショナルなアーカイブ用途で広く使われている形式です。
→非圧縮または可逆圧縮が可能、多様なメタデータ(作成日、機器情報、色空間など)を埋め込める、長期サポートされているオープンな仕様。
TIFFは1枚あたりのファイルサイズが大きくなるという欠点もありますが、それ以上に保存性の高さが評価されています。
「PNG」
PNGは、Webやデジタル配信で広く利用される可逆圧縮形式で、透明度(アルファチャンネル)に対応しているのが特徴です。
→圧縮しても画質が劣化しない、色空間情報を保持可能、ISO標準のため仕様が明確。
文書データの保存:PDF/Aとプレーンテキスト
「PDF/A」
PDF/Aは、ISO 19005規格に準拠したアーカイブ専用のPDFサブフォーマットです。
→フォントをファイル内に埋め込み、将来でも同一レイアウトで表示可能。外部リンクや将来的に動作しない要素を排除、公的機関や電子契約、学術アーカイブなどで標準として採用。
「.txt」
最も原始的で最も信頼性が高い保存形式が「テキストファイル」です。特に、UTF-8エンコーディングを指定しておけば、多言語対応かつ将来的にも確実に読めます。
→ソフトウェアに依存しない。バイナリ形式でないため破損しにくい。コンテンツ重視の保存に最適(コード、記録、簡易文書)。
一方で、レイアウト(段落やフォント装飾など)を保持できないため、「構造ではなく内容を重視」する場面で有効です。
長期保存に適したデータ形式を選ぶための「4原則」
原則1「オープンフォーマットであること」
長期保存において最も重要なのは、「将来にわたって読み取れる保証があること」です。これは、特定のベンダーやソフトウェアに依存しない、オープンかつ標準化されたフォーマットを選ぶことによって実現されます。
原則2「非可逆圧縮を避けること」
非可逆圧縮(ロッシー圧縮)は、ファイルサイズを小さくする代わりに元の情報を失う圧縮方式です。繰り返し保存や変換を行うと、劣化が連鎖的に進行します。アーカイブ用途では、データの完全性と画質・音質の維持が最優先されます。
原則3「メタデータを保持できること」
ファイルそのものだけでなく、そのファイルが「いつ」「誰によって」「どのように」作られたのかという文脈情報(メタデータ)も長期保存には不可欠です。メタデータがあれば、将来の利用者が内容を正しく理解できる可能性が高まります。
原則4「広範な互換性・実績があること」
ファイル形式は、どれだけ「多くのソフトウェアで開けるか」「異なる環境で読めるか」という実績と互換性の高さも大きな要素です。仕様が優れていても、使えるツールがなければ保存の意味がありません。
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