紙カルテの限界とDX推進のきっかけ
ある中規模病院では、創立以来使用してきた紙カルテが、年々その保管スペースと管理負担を圧迫していました。倉庫には数万件に及ぶカルテが山積みとなり、必要な記録を探すだけで数十分を要することも珍しくありません。こうした中、国を挙げた医療DX推進の流れがあり、院内では「紙カルテの電子化」を軸にした改革の必要性が議論されるようになり、DX推進の第一歩として、紙カルテのスキャニングによるデジタルアーカイブ化が正式に決定されました。
今回は、紙カルテのスキャンで病院内DXを推進した事例についていくつかご紹介します。
段階的スキャンと院内連携によるプロジェクト推進
プロジェクトは、まず診療科ごとの優先度を設定するところから始まりました。外来記録数の多い内科や整形外科を先行し、過去10年分の紙カルテからスキャン作業を開始。病院内のDX推進チームが中心となり、外部のスキャニング専門会社と連携し、作業フローの見える化とセキュリティ対策を徹底しました。特に留意したのは、個人情報の取り扱いとスキャン精度。OCR(光学式文字認識)によって検索性を高めつつ、原本と照合して誤読のチェックも行いました。スキャン済みのカルテは院内の電子カルテシステムと連携し、患者IDをキーにしていつでも過去記録を呼び出せるよう統合。物理的な書庫が不要になったことで、スペースの有効活用も進み、スタッフの負担軽減にもつながりました。
業務効率化と医療の質向上への寄与
紙カルテのデジタル化によって、医師・看護師・事務職員それぞれの業務に明確な変化が表れました。かつてはカルテを探すために倉庫を往復していた医療スタッフも、今では端末から数秒で情報にアクセス可能に。過去の診療内容、検査所見、紹介状の履歴などが簡単に参照できることで、診察の精度が向上し、患者との対話に時間を割けるようになりました。また、事務部門でも、保険請求や診療報酬明細の根拠資料を探す手間が減り、処理スピードが大幅に向上。さらには、カルテの紛失や誤送付といったリスクもなくなり、個人情報保護の観点からも信頼性が高まりました。こうした変化は、単なる“紙からデジタル”への置き換えではなく、「業務の質と医療の質を両立させるDXの成功事例」として、他院にも波及しつつあります。
変化に戸惑う職員とサポート体制の重要性
導入当初、特にベテラン職員の中には「紙の方が早い」「慣れた方法が安心」という声も少なくありませんでした。カルテを手に取って読み込む習慣や、直筆のメモが残すニュアンスに価値を見出していたからです。そのため、病院では電子化と同時に、院内研修やサポートチームを設けて、不安を丁寧に解消していく体制を整えました。実機を使ったハンズオン研修や、デジタルデータ上でのメモ機能の活用方法の共有など、具体的な利便性を体感してもらうことで徐々に定着を図りました。また、「紙カルテ原本は一定期間保管」「重要事項はダブルチェック体制」といった移行期間中のルール整備も、安心感の醸成に寄与しました。こうした丁寧な移行プロセスが、病院全体でのDX成功を支えたと言えるでしょう。
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