紙の質感別:スキャン画像に現れる色の違いとそのメカニズム

紙の質感と色の違い

紙の色、質感、表面加工の違いは、印刷物を見る際に視覚的な印象だけでなく、スキャンというデジタル変換処理にも大きく影響を与えます。肉眼で見たときにはほとんど差がないように感じる紙面の色味が、スキャンを通すことで大きく変化し、ときには情報の正確性やデザイン意図を損なうことさえあります。

今回は、紙の質感別に、スキャンによって生じる色の違いについて詳しく考察し、原因と影響、対策についていくつかご紹介します。

上質紙(非コート紙):自然な発色だが色が沈む傾向

上質紙は、表面にコーティングが施されていない、一般的なコピー用紙やノートによく使われる紙です。インクの吸収がよく、マットでややざらついた質感を持っています。

スキャン時の特徴は、インクのにじみや沈みがそのまま色に出ることです。上質紙はインクを吸い込む性質があるため、印刷された文字や色面はやや滲み、エッジがぼやける傾向にあります。このため、スキャン画像ではコントラストが弱くなり、「ぼやけた色」「くすんだ色」に見えることが多いです。

また、紙自体のオフホワイトがグレーがかることも挙げられます。上質紙は完全な白ではなく、わずかに黄味やグレーを帯びています。スキャナーの光源が反射率の低い表面を読み取ると、その色味が強調され、全体的に「薄いグレー」や「色あせた白」として現れます。

コート紙(光沢紙・マット紙):色の発色は鮮やかだが反射に要注意

コート紙は、表面に顔料や樹脂のコーティングが施され、平滑でインクのにじみが少なく、色の再現性に優れた紙です。パンフレットや雑誌、写真印刷などに使われます。光沢紙(グロス)とマット紙(つや消し)に分かれます。

スキャン時の特徴は、鮮やかな発色が維持されやすいことです。コート紙は表面が滑らかでインクが乗ったまま保持されるため、印刷時の発色に近い色をスキャンでも再現できます。特にマット紙では、つやを抑えながらも発色が比較的正確に出ます。

また、光沢紙ではハレーションや照り返しが発生します。光沢紙の場合、スキャナーの光が紙面で強く反射して白飛びすることがあります。これにより、一部の色が飛んだり、コントラストが極端になったりします。特に黒ベースのデザインや濃色が多い印刷物では、ムラが出やすくなります。

クラフト紙・色紙:地の色がスキャン色を変える

クラフト紙や色紙は、紙そのものに強い色味を持っており、印刷された色と混ざることで、全体の色合いに影響を与えます。特にパッケージやラッピング、アート系の印刷に多く使われます。

スキャン時の特徴は紙の地色がスキャン時に「背景色」として強く出ることです。例えば、クラフト紙の茶色は、スキャンすると明るいブラウンが全体にかかり、印刷された黒インクでさえ「焦げ茶」に見えることがあります。

また、印刷された色が変調を受けやすいです。赤インクがオレンジに、青が緑がかるなど、地の色と補色関係にある色は特に変化が顕著です。これにより、スキャンされた画像では元の色を正確に再現できない場合があります。

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